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道産子エンジニア

毎週好きなこと書きます。

フランス人は服を10着しか持たない

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惹きつけるタイトルだったし、一昔前に流行っていたので買って読んでみた。 第一印象は自身過剰でナルシストな印象を持ってしまうかもしれない。実際、そんな論調であるし、 翻訳も意図的にそういう印象を植え付けるようにしている。だが、そこで嫌気がさして読まないのはシックじゃない。捉え方の問題だ。

タイトルは高度経済成長を遂げ、大量生産大量消費の工業的なアメリカ志向が強くなっている日本に対しての、 皮肉を込めての惹きつけるものなのだろうと思う。実際の題はLessons from MADAME CHICだ。 登場するフランス一家はまさにシック。自分たちの持っているものの中で良質にこだわって、 満足いく生活を送ることへ誇りを持っている。そんな生き方に感銘した著者が「シックとは何か」を、 実体験をもとに紹介し、その学びを広める、あるいは宗教的に信じさせるための本であった。

ふと自分の生活を考えてみると、確かに無駄な消費活動などは多い。また良質な食品、衣装、家具に強いこだわりを持っている。 こと食事に関しては、食べたいものを食べたいように食べることを推奨しているが、それはいき過ぎてもいけないという。 著者はとってもファーマーズマーケットでの買い物についてワクワクするということを書いている。 以前に書いたこの記事で紹介したフード右翼とフード左翼の話があるが、 それでいうとこの著者は圧倒的に左翼であり、それを良しとして生き生きと生活しているようだ。

上の記事でも書いているが、なんと言おうとアメリカ的な大量生産大量消費の文化は明らかに人々の生活を豊かにしている側面もある。それを忘れてはいけないように感じる、フランスや多くのヨーロッパ諸国でもマクドナルドはあるし、人々の食事に馴染んでいる。

自分の大学の認知心理学の先生だった南部美紗子先生も以前にこれを読了されていたようで、 (半年くらい前か)その感想をFacebookに投稿していたものとかなり共感できた。 リンク

共感できたというか、いろいろな自分の感性を豊かにしている読者に対して、 この本が人生を変えるような効力を持っていないというだけかもしれないが。

タイトルの持つ魔力を見抜く

南部先生もタイトルに関しては上のリンクで述べているように、この本の訳者の方がセンスがありそうだ。 たぶんこの装丁、タイトルが相まってこそこの本は売れたのだろうと思った。 自分が読書するときは、翻訳本には気をつけている。時に、装丁やタイトルが秀逸なだけで、 人は本を買ってしまうと思う。訳書の場合は最初の数ページを開いたりして原題を確認しよう。 自分が想像していたものとはまったく違う内容でがっかりしてしまうのを防げるかもしれない。


一つだけ、これはいいな!やってみようと思ったのは、ムッシューシックが料理をする際にエプロンをするということだ。 自分も料理が好きなので、よく人に食べてもらうことがある。料理は作る過程が美しいと出来上がるものもいい。 これはたくさんのお店で料理を食べ、その料理人の姿をみた自分の経験から導き出した答えだ。 ちょっと想像してみるとわかるけど、カッコよく割烹着を着こなした料理人、エプロンの似合う料理人、 そんなユニフォームに包まれた人が作る魅力的な料理。それだけで美味しそうに思うし、食べたくなってしまう。

総じて、これくらいの感想しか生まれなかったのは自分の文章力の問題かもしれないが、 感想のインスピレーションが発生しなかったのは、それが現状の自分が本から受け取れる限界だと思っている。 この本は女性の服のブランド、フランスの観光、フランスの文化を知るには面白い本かもしれない。 この本を読んで気づく大切なものは、大抵、いろんな本、記事などで人間は気づいているものに近い。 すこし、著者のエゴが強いのはいいことだし、ユーモアたっぷりに描かれた読みやすさがいい。 これに強く共感する人はアマゾンのレコメンドで出てくる似た作品がぴったりとマッチすると僕は思う。