道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

筒井康隆「旅のラゴス」を読んだ

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

なんでこの本を読んだのか珍しく覚えていない。物理本が家に転がっていたので読んだ。
調べるまで知らなかったのだけど筒井康隆で知っている作品が少しあった。
深田恭子が見たいだけで見た「富豪刑事」、一昨年みたアニメ映画の「パプリカ」、細田守にはまって一気に見た「時をかける少女」など。 代表作でもないこの本に到達したのはそんな過去に見た作品と本屋での巡り合わせかな。

フィリップKディック的なSF好きの俺にとって好物であるはずのSF小説なのだが、
「これがSFなのか?」という違和感が強い作品だった。
だがそれがまた良かった。

描かれているのは「超能力」というSFにありがちな世界観と思いきや、「文明崩壊」「原始回帰」「近代科学や哲学や政治」といった現実的な世界感にとどめているのが(その気持ち悪さが)面白い。そして全体を通してやはり「男のロマン」筋が通っている。それがつまり旅だった。

風立ちぬの堀越二郎にもあるこのなんとも言えない男の愚かさ、誠実さがすごい好き。 綺麗なSF小説だった。というかSFではないのかもしれない。


読書所用時間:約5時間
オススメ度:★★★★☆

さて次は森見登美彦の夜行読むぞ。