道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」と「第三の嘘」読んだ

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

これらの作品の第一部となる「悪童日記」を読んでいたので絶対に読もうと決めていたが、最近は仕事がバタバタとしてたので読めていなかった。

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読んでいくとどんどん混乱していくような、点と点がずれていくようなそんな感覚になりながらも、あるときは理想の世界、あるときは最悪の世界のような入れ替わりが常におきていく。悪童日記では日記調であった文体が特徴だったが、この二つはそうでない。けれどもあの日記の続きを読んでいるような、それとも普通の小説を読んでいるような不思議な感覚になった。あとがきなどによれば、作品にはクリストフ本人の体験や人生が多く反映されているらしい。戦時中でいくつも起こり得たであろう「もしも話」が詰め込まれているようにも感じた。

人は自分の体験や思考でしか小説をかけない。想像するには自分のベースとなる部分が必要だからだ。この作品で何度もこうだったらいいのにと思うシーンは裏切られてきたが、それはまたクリストフの人生であり、自分たちの人生であるのかもしれない。


一度で細かい描写を追い切るには情報量が多かったので何度か読まないといけないなぁ。

読書所用時間:約3時間ずつ
オススメ度:★★★★☆