道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

フィリップ・K・ディック「火星のタイム・スリップ」読んだ

火星のタイム・スリップ

火星のタイム・スリップ

途中からいい感じに幻想世界なのか、過去なのか、未来なのか、並行世界なのかわからなくなる。ガブルガブル。 ディックって面白い!と感じる作品の一つだと思う。

ディックの作品は見た目を細かく説明しがちなのだけど、貧困民、優れた技能を持つデブのハゲ、赤毛の少女、奇形児、元妻、精神科医、闇を抱えたコミュ障エンジニアなど、とにかく愛すべきキャラクターが多い。ある時は自分の内面的なコンプレックスを写した主人公、自分のその時の彼女の性格を写した女などを描くことも多く、自分の人生と小説の見境がつかなくなっているようにも感じる。

常に妄想していたのだろうと思う。小説を書く人はみな、そうなのかもしれない。

もう一つ、ディックの作品で好きなのは食べ物の描き方だと思う。特に火星のタイム・スリップでは、舞台が火星なので食料の問題が常につきまとう。 そこに地球の美味しい食品を闇ルートで入手する密売人なども絡まってきて、いつもはなんでもないように感じる缶詰でさえご馳走と思ってしまう。 ちょうど、ジブリ作品の食事シーンを見ている時のような気分になる。食事は常に生活に付きまとい、その世界を表すのにすごく役に立つ。読むときに意識してみると面白いと思う。


DroidKaigiの準備は進めつつ、息抜きに読んでいます。笑

読書所用時間:約6時間
執筆時間:約30分(630文字)
オススメ度:★★★★☆