道産子エンジニア

我が運命を決めるのは我なり、我が魂を制するのは我なり

システム間の統合体験を改善するプロダクトマネージャーになります

会社で面談していると短期的な目標と中長期の目標設定をすることはよくある。そのときいつも、「君は5年後、10年後どうなっていたいの?」と言われて困ってしまう。アルプでそう質問をされたわけじゃないけど、今後やりたいことは何か?と考える機会ですぐに答えられなかった。逆に、10年前の自分を思い出してみてほしい。今の自分を明確にイメージしてそれを実現している人はどれくらいいるだろう。もちろん大谷翔平選手のような人もいるだろう。でも、当時は想像もできなかったことをしている人もたくさんいるはずた。

僕もこの質問に困るひとりだったが、2022年からプロダクトマネージャー(以下PdM)にキャリアチェンジしていくことにした。2014年から7年ほどやってきたエンジニアを一度やめることになる。僕の勝手な決断に向き合ってくれて、キャリアについて一緒に考えてくれた役員の伊藤さん、竹尾さん、山下さん、応援してくれる会社のメンバーには大変感謝している。

このキャリアチェンジについて、どのような思考で至ったのか残しておく。僕のことをよく知らない会社の新しいメンバー、PdMになりたいと考えているエンジニアなどに参考になれば嬉しい。また、僕が目指すPdM像「IntegrationExperience-統合体験」のマネジメントは、日本では明確に定義されていないため、これを広めつつ、各社の人と交流していきたいという気持ちもある。

きっかけ

21年の2月くらいから9月にかけて開発した重要なリリースを終えた。その後の面談で、EM制の導入や開発チームの再編成をするという共有があり、そこで冒頭の質問がでた。自分自身の本来やりたいことは何か?を改めて考えてみたのがきっかけだ。会社に「創業期からいた」価値自体は、時間と共に逓減する。その上で、会社にとってより意味のある仕事をするには、自分が得意で他のメンバーよりこだわれる何かをしていることだと考えていた。会社から評価されたいというより、自分が好きで頑張れることが会社にとって意味のあることというベクトルの一致をさせたかった。自分のIssueを会社の目線に合わせようと考えた。

僕はどんな人なのか

何をしたいか?を考えるためにも、まず自分はどんな人間なのかを整理する。これまでの自分の仕事についての意思決定、活動を思い出す。

2014年に新卒入社した会社ではモバイルアプリ開発を始めた。その頃のモチベーションは世の中を変えるモバイルアプリが作りたいだった。少なくとも10年はスマホがなくなるとは思えなかったので、モバイルアプリで何か良いものが作りたいという気持ちだった。数千万MAUを超える大規模アプリの開発の経験は少なかったけど、電車で自分が作っているアプリを触っている人を見たときは嬉しいものだった。toCサービスの面白さは見えないユーザーへの仮説検証と社会実験にあった。そのために必要な知識を身につけ、コミュニティに参加し、開発を楽しんできた。

アルプに転職してから今まででやってきたことは、「創業期のプロダクト開発に必要なこと」ならなんでもだった。Scalaを書けるようになる、みんなと一緒に開発チームの立ち上げる、開発プロセスの改善、運用、技術的負債の解消などなんでも。手段としてエンジニアリングが好きで、思考としては良いプロダクトを開発をしたいという思考が強かった。toBサービスの面白さは顧客のバーニングニーズを解消し、今すぐ欲しいと言われるものを作り、仮説検証して会社が目指す社会の実現にある。

元々LTするのが好きで会社でよくやっているのだけど、LTのネタを読書などで仕入れている。最近その読書傾向を見ていたら、どうも「プロダクトマネジメントに関する本」がよく意識に残り、チームに反映したいと考えるクセがあるようだった。開発のある分野について、専門性を高めてその技術に貢献したいというよりも、より強く「良いプロダクトを作りたい」し、そのために良いプロダクトとはなにか?を検証したいと考えている。

こういった整理から、実は「プロダクト思考」が強いのだと気がついた。

プロダクト思考

アルプでは色々開発してきたけど、中心的にやっていたのは「外部システムとの連携プロジェクト」だった。その中で進んでいた大きなプロジェクトが9月のリリースだった。このリリースが終わってから、開発チームで振り返ると、大変な開発だったが、僕らは正しいものを作れていないかもしれないのでは?という疑問が湧いてきた。

この「正しいもの」とは、「正しいものを正しくつくる」に出てくる「想定ターゲットが欲しているもの」だ。

また、それと関連して、今やっている開発は会社にとって優先度が高くないのかもしれない?と感じることが多く、表現が悪いが頑張っても意味のない領域を任されているのでは?と感じ始めたのだ。なぜこんなことが起こるのだろう?と調べるほど、社内に答えを持ってる人がいなかった。なぜこの開発の優先度は上がらないのか?の答えを誰も持ってないとしたら、自分がマネジメントして改善して行くしかないのでは?と考えるようになった。それはつまりプロダクト思考であり、PdMとしてやるのが正しそうだと考えた。

キャリアチェンジ

ソフトウェアエンジニアがそれ以外の職種になるとき、「あっ、あの人はもうエンジニアをやめるんだな」みたいな雰囲気がでる。僕もそう感じていたことがあるし、特にマネジメント職種になる場合は強く感じてしまっていた。そういった不安はあるけれど、やりたいといってPdMをできるチャンスの方が少ないし、今までなんとなくエンジニアをやっていたところから、本当にやりたいと感じていることへキャリアチェンジしてみるのも良いなと考えた。転職時のアプリエンジニアからバックエンドエンジニアになることも思い切りだったし、向き不向きはあっても、やってできないことはないだろう。

ソフトウェアエンジニアは会社にとってより重要な職能だし、創業期の開発で1人が抜けると回らなくなることもありえるため、ある程度納得してキャリアチェンジできるようにしたいと考えた。そこで創業者それぞれに1on1で壁打ちしてみることにした。

システムのIntegrationExperience-統合体験

創業期の会社なので、明確なエスカレーションの仕組みがあるわけではないし、役員と頻度高く1on1できることはラッキーだった。まずは自分のエンジニア人格として、新卒同期であり、アルプの開発担当取締役の竹尾さんへ相談した。その後、プロダクトの方向性と合っているかを知るためにプロダクトオーナーである山下さんと相談した。職能を変えたいと考えてることと、プロダクトの方向性とマッチしていることを整理してから、代表の伊藤さんへ考えを伝えると、Scalebaseというプロダクトにとってより広い視野、大きなIssueを扱って欲しいと言われた。また、これらの相談の過程で自分のジョブディスクリプション(以下JD)を書いて欲しいと言われた。自分がなろうとしている人物像が明確になるので書いてみた。

僕のやりたい職務にについて調べているうちに、海外のSaaSなどでイメージに近いJDをいくつか見つけた。たとえばStripeはこちら。

Product Manager, Stripe Infrastructure - Stripe: 募集中の職種

以前までは「IntegrationExperience」だったが、今は「StripeInfrastructure」になった。

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StripeのJD

toB SaaSプロダクトとして、今後エンタープライズ領域を狙うためには、より高度なシステム要件が多数あり、その中でも自分がこれまでやってきた外部システムとの連携は重要なポイントかつ、エンジニアリングの背景が活きると感じた。システム間連携には技術的な難しさ、工数を加味した設計や優先度決めが必要だからである。ここをPdMとしてやっていくのが面白そうだ。

また、日本の色々なプロダクト(toB SaaSへの偏りはあり)で「システム間連携を専門とするPdM」や似たJDは見つけられなかったので、まだまだ確立されていない領域であり、僕がこれから作っていきたい。

エンジニアがプロダクトマネージャーになる日

PdMは僕の中でようやく熟したテーマだった。人の成長はコンテクストで大きく変わる。価値観や評価が180度変わる世界がある。エンジニアになりたいと決めた過去もその一つだ。自分の行為が正しいコンテクストにあるか常に考える。それこそが今まで困っていた質問「君は今後どうしたいか?」ということに他ならなかった。

この質問を正しく書くなら、コンテクストが今の自分のスタンスにあっているか?を知ること(自分の好きでやっていることが本当にやりたいことであるかどうか?)であり、未来を固定すること(5年10年後になりたい自分を決めること)ではなかった。なぜなら、コンテクストは変わるからである。会社は変わり続けるし、自分も変わり続ける。ならば、今やっていることと自分の本来やりたいことのコンテクスト合わせることが重要だ。そう考えると僕はPdMとして今後やってみたい。

誰かのために仕事をしているわけではない(もっというと仕事をしているという感覚ではない)けれど、組織に属することは誰かを納得させていくことなので、自己中心的動機から組織協調的な姿勢を生み出すのはこのコンテクストの一致なのだ。だから、自分の仕事は誰かにお願いされるものではないし、自分が決めたやりたいことが会社にとって意味があると嬉しいし、やる気が満ち溢れてくる。