昨日、渋谷PARCOで行われたトークショーなんだけど、今熱いGraphersRockの岩屋民穂とtofubeatsの組み合わせなので行くしかなかった。面白かった話を紹介。
絵が描けないデザイナー、楽器が弾けないミュージシャン
最近自分はデッサンにハマってるんだけど、岩屋さんはイラストが描けないという話が面白かった。tofubeatsの作品university of remixで書いたラフがひどすぎるといって見せてくれたが確かにひどかったw けれども提出する前にイラストレーターに書き直してもらうというこだわり。(写真は書き直してもらったあと笑)
大事なことは、絵が描けなくてもグラフィックデザインをできる時代になったからこそアーティストになれることだと思う。これってすごい良いことだと思う。 そのあと続けてtofubeatsも
「僕も楽器が弾けないけど音楽やってますからねw」
と言っていてかっこよかった。
エンジニアとかはよく「簡単にプログラミングできる」的な謳い文句のサービスをdisる傾向にあると思う。もちろん、全くできない人が訳も分からずにできてしまうことはあまり好ましくない。しかし、それが 受けたり流行ったりしたらそれは正しい と思う。 「余計なことを考えなくても作りたいものを作れる」 というのはその技術が本当に成熟している証拠だ。そのために頑張ってきた業界の人たちの賜物だと言える。ある表現をするのにみんな同じやり方でする必要なんてない。自分のやり方で尖りまくればいいんだ。
インターネットと膨大な技術の積み重ねが産み出した現代のアーティストは魔法を唱えるように絵を描き、音楽を奏でる。
かっこよくない?笑
見えないところまで仕事にこだわる
岩屋さんの仕事のこだわりは綺麗なラフの提出にとどまらない。まず提出のスピードがはやく、その時点でのクオリティが高いそうだ。 そしてそのデザインに対するリファレンスなどもしっかり提出して説明するそうだ。
tofubeatsのPOSITIVEでは下にあげる映画トレインスポッティングのポスター、大塚製薬の薬のパッケージデザインやポカリ、エネルゲンなどのデザインをしたhelmut schmidのデザインにインスパイアされて作ったそうだ。めちゃくちゃかっこいい。
このほかにもレコード会社用の説明資料といった消費者に見えない部分まできちんとこだわってデザインされるそうな。忙しく仕事をしているとなかなかできてなかったりするし、見えない部分で手を抜いてしまいがちだけど、そういう細部に神が宿るとはよく言ったもので自分ももっともっと丁寧な仕事をしていこうと思った。
- アーティスト: tofubeats
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2015/09/16
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POSITIVEの初回限定版は自分も持っているけどジャケのこだわり方がはんぱじゃない。物として欲しくなってしまう一品だ。そこに隠れたデザイナーやアーティストの魂を感じれてよかった。山根慶丈の絵も80'sを感じる味わい深さがある。
上がったデザインについて大きな修正をしないことが信頼
tofubeatsが作品を作るときにこだわるのが
「イメージだけを伝えて、上がったものに大きな修正は入れないことが一番のリスペクト」
と言っていてすげぇ!と。 これって自分の周りでは本当に少なくて、みんな上がったものにあーだこーだ言い合ってネガティブチェックするみたいな風習がある。それって本当にお互いの信頼があれば微調整くらいしかいらないはずだし、同じビジョンが見えていればズレるわけがないよなって単純に思う。アーティスト同士、がっちりお互いを尊敬して信頼してイメージを共有して仕事ができている姿が本当にすごいなぁ。
宗教モチーフとかサイケデリック
先にも書いた山根さんの普段の絵はなかなか毒々しい。Instagramや過去のWebなどで作品を見てもらうとわかると思う。「Discoの神様」のときはガネーシャを書くのにハマっていたそうだww 曲名に「神」が入っているから宗教的な、神的なイメージでと共有して描いてもらったらしい。すげぇいい。自分も宗教について調べて知るのが好きだし、それってこれまでの人間がしてきた信仰とは少し違った形でインターネットを使って、情報に姿を変えて宗教が生きている証拠な気もする。山根さんの作品にはよくプロビデンスの目が登場するし、宗教も現代に合うようにデザインされていくのだなと感じた。
GraphersRockとtofubeatsと山根慶丈に共通しているというか根底に感じるのは 「サイケデリック」 だ。自分はこれがすごい好きだからこの三人のマッチした作品が大好きなんだと思う。ただのEDMとかではない、ヘビィメタルみたいな重さ、dubstepみたいな重さ、闇っぽさを孕んでいる気がする。それがすごい好き。
岩屋さんはハトラの仕事で宗教モチーフを頼まれて勉強したらしいがどこで勉強したのか聞いてみたら、大阪にある国立民俗学博物館らしい! これは絶対行く。
同い年のアーティストと自分
tofubeatsもイラストを描いてる山根慶丈も1990年生まれ。自分もそうだ。自分はまだまだだけど、こんなに輝いている人がいるってことが励ましになる。もっと頑張ろう。自分もアーティストになってみせる。tofubeatsの20140803という曲で
君が一番だと思ってるものを一生涯愛せるのかい?
というフレーズがある。自分は一生涯愛せるものを見つけただろうか。自分のやっていることはこの先一生涯できるだろうか。
てゆか毎日やりたいこと沢山あるようで無いのかもしれないな
…
てゆか毎日どうでもいいことばっかり気にしていれるのが幸せ
うむ。
tofubeatsのアルバム「POSITIVE」の裏話よかった
tofubeatsの最初のアルバムは曲が全然間に合っていなかったのでとりあえず名前が文字通り「First Album」になったという話をしていて、その中でもがきながらもなんとか形にしたものだったそうだ。(デザインのコンセプトは未来で出土したアルバムのオーパーツらしい。オーパーツという言葉がいい。)
- アーティスト: tofubeats
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2014/10/02
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そのあとのアルバムPOSITIVEはまた曲作りに難航していたとき岩屋に相談していたら「ネガティブなことばかり言うんじゃなくポジティブに考えよう」という話から来たんだって。面白い笑
トークショーが終わったあとどうしても気になっていたPOSITIVEのPVで なぜ足だけを映した映像なのか という足フェチとして外せない質問をしてきた。 そしたら結論はDreamのAmiは顔出しNGだったからだそうだ。でもそこからポジティブに考えて足の動画でかつフェチにはたまらない映像として仕上げたそうだ。俺自身、その戦略にうまく引っかかった一人だったということだ笑
とっても面白かったしお二人のアーティストと直接会って話せてよかった。販売で探してたタチコマTシャツがあって即買いした。 あとは作品集の発売イベントだったのでRASTERIZEも買ってサインも貰った。(インターネット名でもいいという話だったので良かった) 渋谷って面白い街だわほんと。(センター街歩くの嫌だけど)