- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2016/10/25
- メディア: 単行本
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装画が良くてジャケ買いしたくなる人も多いんじゃないだろうか。 四畳半以来で森見登美彦の作品を手に取った。
イラストを描いたのはゆうこさん。
作品を読みきった時のなんとも言えない気持ちを反映したいい絵だと改めて思った。
その「なんとも言えない気持ち」になったのは、お試し版の帯に
1年半ぶりの新作にして、10年ぶりの怪談!
と書いていたせいだと思う。
読み始めは怪談にも感じるけど、恋物語だったり、作家の人生物語にも感じる。夢と現実についても考えたくなる作品だった。 読めば京都に行きたくなる森見節を持ちつつ、作中にでる各地の風景も思い浮かべてしまい旅行したくなった。
「ここからは〜の話。」と章が始まるのだが、章の終わりにはなんだかボヤッとする。この夢なのか現実なのかよくわからない境目で話が進んでいき、作中に出る作家「岸田」の世界に引き込まれていくような感覚を味わう。これが佐伯の言う魔境なのかもしれない。
岸田の夜行シリーズに迷い込みつつ、少しずつ明らかになる時間と現実が表紙のような尾道の風景と綺麗な女性に見えてきて、朝日が差し込む。けれど、夜行の女性が見えたそのときはまた迷い込んでいる。そんな曖昧な感覚に揺れる作品だった。
読書所用時間:約3時間
オススメ度:★★★★☆