道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

加藤昌治「考具」

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

考具 ―考えるための道具、持っていますか?

かなり昔に表紙を見た記憶があって、ブックオフで100円だったので購入。 古くなっていたが、2010年の第30版なので相当売れているのだろう。(発行部数が少なければ一概には言えないが)

ブレインストーミングやKJ法みたいなものを普段から使っている人には「何をいまさら」な内容だと最初は思っていた。読んで見るともちろんそういった内容も多いのだけど、いくつか「これはやってみたいな」と思うようなアイデア出しの方法があってよかった。

これは自分も含めてかもしれないが、昔からよく感じるのはエンジニアは「アイデアがあんまり面白くない人が多い」ということ。(それでも自分はアイデア出しには少し自信がある)どうしてなのだろう?と考えてみると、デザインの知識がある人や経営者の人たちはアイデア出しの瞬間、 紙などに雑に書きなぐることが多くないだろうか?その一方でエンジニアは マークダウンなどテキストでリストアップすることが多くないだろうか。 自分の実体験で思い出して見て欲しい。

面白いアイデア出しのポイントはここにあるのではないかとこの本を読んで思った。なぜなら

脳は放射状に働く、知的作業は一直線なのでずれている

だからだ。どういうことかというと、アイデアが生まれてくるときの自分の状態を思い出すとわかる。 アイデアが浮かんできているとき、「そういえばあれも〜だ」とか「関係ないけど…もあるよな」みたいなことがないだろうか?(俺は非常によく体験したことがある。なかったらむしろアイデア出しに脳が活発になってないのかも)

人はアイデアを考えるときと問題を解くときでは明らかに考え方が違う。問題を解くときは順序立てて、論理立てて、なぜを突き詰めていく。それは後からなぜそこに至ったか自分に説明する必要があるからだ。アイデアを考えるときはあるテーマについていろんな方向に発散しながら考える。つまり放射状に考えている。

エンジニアのアイデアが凡庸なのは、エディタの左上から順番に列挙しようとするからつまらない

俺はそう思う。そしてそれを意識して変えていけば誰でも面白いアイデアにぶち当たることができるはずだ。 そう思うことができたので面白い本だった。

マンダラート

いろんな考えるための方法を書いてあるこの本で、自分が聞いたこともやったこともなかったのがこの「マンダラート」(Mandal-Artと書くらしい)詳しくはおググりくださいなんだけど、簡単に言えば9マスの正方形を使ったシンプルなバリエーション出しのことだ。9個ってのとマンダラってのがいい。マンダラって仏教のやつらしいんだが名前もいけてる。ポストイットを使ってブレインストーミングするとなんでかあんまり手が動かない人っていると思う。漠然とポストイットを見つめるだけでは確かに難しい。けれど、マンダラのマスを埋めるのはなんだか楽しい。マルバツゲームをやっているような感覚になるのがいいところ。

これは是非やってみよう。

名前は重要

この本でもタイトルの重要性が説かれていた。いつかのブログでも書いたのだけど、大学でバイクサークルを作ったとき顧問だった学長に「名前をちゃんと決めてね。名前は重要だから」って言われたのをいつも思い出す。加藤さんも自分のアイデアにはタイトルをちゃんとつけるのが大切だという。会社の社長もこの施策にゴロのいいフレーズが欲しいねというし、半期に一度の社員総会では必ずスローガンを掲げる。

少し違うけどエンジニアも変数名とかメソッド名を気にする。ライブラリの名前なんかもそうだ。 人は名前がイケていると使いやすい、覚えやすい、呼びやすい、伝えやすい、思い出しやすい。 タイトルは絶対重要だ。


読書所用時間:約3時間
オススメ度:★★★★☆