勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 (小学館101新書)
- 作者: 梅原大吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/10/26
- メディア: Kindle版
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すごい前に先輩に紹介してもらったけど、読むの忘れていた本。
最近は多読していて、前回の木皿泉の「二度寝で番茶」と平行して読んだ。
この二つの作者は明らかに違う生き方なのに木皿さんの意見とこの本の意見が絶妙にマッチしていて楽しかった。人生の勝負観について、改めていい気づきがあった。
序盤の方はすごい荒々しいというか、ゲームヲタの根性論に聞こえなくもないんだが、そうした考えからどう思考が変化していったのかがわかる。そこがすごくよかった。自分には人生の勝ちポイントというか成功を感じた瞬間がまだないので、まだまだこれから頑張らないとなと感じる一方、周りでもすごく成功しているなあと感じる人から何か学べないかなと手探り状態だ。
ただ、この本で気付かされたのは期間を決めて目標を達成することは楽しいが、そのあとは燃え尽きて続かなくなるよなということ。目標を立てるのではなく、習慣化して、常にやり続けることが勝ち続けるということである。そういう気づきだった。勝っても負けても一喜一憂せず、目の前のことをコツコツ続けていくしかないということだった。
他人は他人を結果でしか判断しない。なのでコツコツやり続けることを自分が楽しめないと、まわりの評価ばかり気にして、本質的ではない部分に気が取られてしまう。そんな生き方はしたくないなと共感した。自分は自分のやりたいことを自分が納得するように努力し続けて、それを楽しめればいいのだと。たいていの人は想像力が足りなくて、相手のことを理解しきれていない。もちろん自分も。だから認めないし批判する。だから自分が信じて頑張るしかない。
そんなひたむきな気持ちを鼓舞してくれる本だった。
勝ち続けるとは負けないことではない
タイトルが煽りっぽいせいか勘違いしちゃうけど、実はここで負けてもどこかで勝てればいい、むしろ勝ち負けを忘れるほど何度も挑戦しようというのが根本にある。それが勝ち続ける意志力なのだと。自分の体験で話せないけれど、多分「ブームとブームがすぎた時期」を過ごした芸能人とかなら話せることなのかもしれない。
それにしても一生勝つのは無理だ。それはご都合主義というものだし、物語の世界でしか有り得ない。物語の世界だとしても、勝ち続ける物語は何も面白みがないだろう。負けているからこそ、失敗しているからこそ、勝てるようになってくる。
勝ちというのはかなり不安だ。次に負ける可能性があるからだ。まともな精神状態にはなれないはずだ。最近みた敗北で印象的だったのはレスリングの吉田沙保里選手が金メダルを逃したときだった。とてつもないプレッシャーに打ち勝ち続けたのは、なにも肉体が鍛錬されていただけではないはずだ。俺には味わったことのない恐怖との戦いの日々に違いない。
「よくわからないけどすごい」が究極
ゲームのプレイの話で書かれていたが、基本を極めて習得した部分までは、人が理解できる。みれば説明ができるのだ。けれども、その先を行く努力をしている人の技術は、一般人には理解できない。これ実は自分も体験したことが多々あって、陶器の展示などを見に行くとよくあることだ。本当にすごい!って思う人の作品は、同じ陶芸とは思えないぐらい、一体全体どうやってこんなすごいものを手で作ってるんだ?と不思議になる。技術を極めるということはそういうことなんだなと理解した。
自分には自分にしかできない圧倒的に優れていることが一つもないので、死ぬまでに一つでいいから何か欲しい。
有名になる必要はない
会社の風土のせいか、若いうちから活躍することが大切だと考えていた。けれど、実力があればの話だよなとも感じる。中身がない状態で一発屋でもてはやされても、すぐに飽きてしまうし、幻滅されてしまう。なにより有名になることを目的にしてしまっては、有名になった時点で終わってしまう。自分が続けていることでちやほやされたいからやっているのならそれは本当にやりたいことではないのだろう。 有名になれないとしても頑張り続けられるものをずっとやっていきたい。
むしろ「実力があるのに周りに認められてないよね。」と言われるくらいやってから舞台に立ちたい。そうすれば、自信は絶対に揺らがないだろうから。
とにかく深く考え抜いて、目の前のことをコツコツ頑張ろう。それしかない!
頑張れないなと思ったらこれを読み返そう。
読書所用時間:約2時間半
オススメ度:★★★★☆