道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

フィリップKディック「シミュラクラ」読んだ

シミュラクラ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

シミュラクラ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

プロットがややこしいが、メモしながら読んだので割と読めた。 同時に読んでいる「火星のタイム・スリップ」の次に作られた作品らしい。

ドイツ語の表現がめちゃくちゃ多かった。ワルシャワを中心とした共産主義とUSEA(ヨーロッパ・アメリカ合衆国)の対立関係となっている。 1964年に書かれたものなので、戦争からひと段落した社会とはいえ、ヒトラー、ゲーリング、ユダヤ人、第二次世界大戦、核爆弾などのキーワードが多かった。 自分も中高で勉強したものの、ほとんど忘れてしまっているので、その辺の歴史をもう少し勉強し直すとまた違った面白さが見つけられそうだ。

ディック作品の代名詞的存在でもある「偽物」ことシミュラクラが、今作のタイトルとなっているが、あまりシミュラクラは重要ではない。むしろ、その大統領のシミュラクラを立てつつも世界の実権を握っているファーストレディであるニコルが重要だ。それが表紙の絵にもなっている。 原題は「The first lady of the Earth」なので、やはり大統領の妻が今作に置いて重要なのだけど、なんでこのタイトルにしたんだろうか...

最後は割と絶望的badエンディングだし、この作品のネタになっている秘密に関しても序盤で明らかになってしまうので、ワクワク度は少なかった。 フォン・レッシンガー装置(タイムスリップ装置)がもう少し役立って、いろんな仕掛けがあったらもっと楽しめたかもしれない。


まだまだ読むぞ〜

読書所用時間:約7時間
執筆時間:約30分(700文字)
オススメ度:★★☆☆☆