道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

サイバーエージェントから転職しました

約5年務めた株式会社サイバーエージェントを2019/1/11を最終出社とし、退職いたしました。

たくさんリアクションいただき、ありがとうございました! 想像力が豊かな人は退職話を素直におめでとう言っていいのだろうかと悩まれるかもしれませんが、かなりポジティブな転職なので心配ないです。

20代のうちの5年を過ごすというのは今後の人生にも大きく影響しそうだなと思っています。とても貴重な体験ができたし、周りの人から良い影響を受けた環境でもありました。

昨年の11月末に1週間程度でスタートアップへの転職を決意し、すぐに上長へ相談しました。もろもろやり残した仕事がたくさんあり迷惑をおかけした社員の皆様には大変申し訳ないですが、スピーディに対応いただき一ヶ月程度で最終出社日になっていました。役回りのせいもありますが僕個人だけで行う仕事がほとんどなかったため、引き継ぎで数ヶ月かかったりしないのは良い環境の証拠だと思います。

先に断るのですが、これは転職をする決意をした自分のバイアスが多分に盛り込まれた記事であり、特定の人や会社、組織を否定したりする目的はありません。

誤解を生む表現があればご指摘くださると嬉しいです。

転職理由

一番大きな理由は、 今リスクを取って一緒に働きたい人を見つけた ことです。転職先についてはあとで書くので、読者が気になる「なぜサイバーから転職したいと思うのか」という視点で書きます。リスクという言葉を使っていますが、これは大企業からスタートアップへの転職にはリスクがつきものであろうと感じる方が多いと思うためです。僕の感覚としては、ないわけではないが人生スケールで考えると些細かなと思ってます。人の現状にもよると思うので、僕個人の話です。

お金について

サイバーではリーダーやトップになるようなポジションではありませんでしたが、困らない程度に給料をもらっていたのでお金は全く転職理由に関係していません。

結構重要な考えだと思うので、書いておきたいのは 年収を指数関数的に上げたいなら、ただの会社員は最良の選択肢ではない ということです。もちろん、僕も転職してまた会社員なのですが、会社員は自分の年収を自分でコントロールできません。なので年収を上げたいという目的には効率が悪いと思ってます。会社員として年収をあげるには

  • ちゃんと稼いでる会社に入る
  • かつ、自分の成長に繋がる環境、人材が周りにいること
  • かつ、周りよりも何かで評価される or 売り上げをあげる

必要があります。つまり、稼ぎたければ稼ぎたいほど強烈な競争に巻き込まれるのです。そしてこれらをなんとかこなしても日本企業だと1500~2000万くらいを超える人がほとんどいないんじゃないかなと思います。もちろんちゃんといるとは思います。

確変を起こすにはやはりSOや株を手に入れる or CTO的キャリアを目指す必要があるのかなと思います。少なくともソフトウェアエンジニア業界では。

仕事

直近でしていた仕事は、AbemaTVでエンジニアとして開発7割、サイバーエージェント社員として採用3割くらいの配分でした。結果的に採用の仕事が楽しくて、良い成果を出せたり多分評価されてました。採用をしてみて思ったのは、自分は人と接する仕事が結構好きで、得意だなということでした。自分の働く環境を冷静に分析する必要があるし、良い部分だけでなく、良くはない部分、強み弱みを理解して説明する必要もあります。そういうのをテーブルに並べた上で、お互い人としてどうかという話をするのって楽しいです。大企業になっても人の繋がりを大切にしてる会社の採用はこんなに楽しいのかと感じました。

エンジニアは採用に非協力的な人が多数で、「採用を手伝ってる=エンジニアリングに集中できてない」みたいなイメージがあると思います。そういうイメージや流れを変えるために昨年一年頑張ってきました。やってみるといろんなことが見えました。

ツイートにも書いてますが、採用は人事がやる仕事ではなく、「社員が誰でも採用ができる」という状態が理想だと思います。そのためには仕組み化が必要です。そういう運動を起こしていました。おかげでエンジニア全員巻き込んで全社的に採用を行っていくという流れが見えてきて、これからどんどん変わっていくと思います。もちろん僕一人の成果ではなく、周りに同じ悩みを感じている社員やそれを波及させられる役員社員がいたからです。

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採用の仕事を頑張る一方で、エンジニアリングには不安がありました。5年やったAndroidは飯を食うのに困らない程度に身についたと思いますが、百人に一人の人材にはなれてない気がしました。手を抜いたわけではないので、やはり自分の弱さだと思います。もっとストイックに、もっと積極的にインプット/アウトプットを繰り返さないといけなかったと反省しています。もちろん、サイバーエージェントおよびAbemaではそこへ向かうための開発環境、人材が揃っており、やり方次第では僕もなれたかもしれません。しかし、現実に今はそうなってないです。なので、Androidを諦めるわけではないですが、もっと横幅を広げて、掛け算をしていくほうが良いだろうなと思い始めました。

社内でそうした相談はちゃんとでき、それを汲み取ってもらい社内で別な仕事をすることも可能ですが、人や文脈、対象領域が自分の考えにマッチするかというのを考えると全ての願いは叶えられないだろうと感じました。別なエンジニアリングで評価されるのをまた5年やるか?いっそエンジニアリングをやめて得意な分野を探してみるか?など色々考えられますが、僕はやっぱりソフトウェアを開発するのが好きでした。

会社は良い意味でどんな仕事でもあり、自分がやれることはいくらでもあります。特にサイバーエージェントは社員のキャリア選択に柔軟に対応するのが上手く、違う領域、仕事で活躍している人が何人もいます。そういう自分を見つけられる環境です。だからこそ、僕はそれでも自分がやりたいと思うことを続けたかったです。この辺上手く言語化できないんですが…

この先のキャリア

転職を決めるまで意識したことがなかったのですが、基本的に会社は長期で働くことを前提にしたキャリア相談をするので、5年10年先を見据えたキャリア設計をしろと言われるのが普通だと思います。他の会社は詳しく知りませんが、よく聞く話という意味で。長期を見据えた目標設定はもちろん大事だと思いますが、5~10年って不確定要素多すぎて大変じゃないですか?こういう話するとき、僕はいつも困ってなんとなくな回答しかできてなかったと思います。

最近、冷静にあと5~10年組織でどういうことをしていくキャリアが良いのか深掘りして考えてみました。今のポジションで自分が関わりそうなこと、昨年結婚したことも踏まえていろんなことが思いつきました。

  • 自分のスキルをどうしようか
  • 最終的にどうなりたいのか
  • 育休どうしようか
  • 採用どうしようか
  • 組織どうしようか

この辺まできて「そんなんじゃねえだろう?!」と心の中で叫んでました。全力で働ける、エネルギーがある今のうちに何を保守的に考えてやがるんだ?と自分の中の芯を見つけました。まだまだ未熟なクセに、もっと実力と腕力をつけないといけないのに、やったこともみたこともない何かを考えてるふりをして、行動してないだけじゃないかと痛感しました。

キャリアプランの考え方のすべてを否定するわけではないです。目の前のことに全力でやるのに変わりがないのであれば、起きた時にどう行動するかだけ決めておいて、目の前のことと自分の気持ちに集中したいと考えました。仮に計画が予定からズレたときも考え始めると、それこそ現実的じゃないと思ったのです。10年前、自分がソフトウェアエンジニアになると思って行動していたら、多分3年くらいでなれてるはずだし、願って行動すれば思ったよりすぐ叶えられるかもしれないと思うほうが僕は楽です。

そう思うともっといろんなことに挑戦して、体験したことのない「やるしかない状況」を残りの20代で過ごしたいと思いました。サイバーは「安心と挑戦はセット」というのが良さなのですが、自分はもっと追い込まないと成長できないだろうと結論付けました。そこでたまたま転職先の人たちに出会ったのです。

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悔いがあるとすれば、

  • トレーニーに一年間最後まで寄り添えなかった
  • 自分が採用に関わった学生と一緒に仕事ができない
  • 最後に担当していた仕事を丸投げしてしまった

などなどたくさんあるんですが、あげだしたらキリがないし、すべてを完璧にこなせるならもっと違う成長ができていたと思うので諦めるしかないです。幸い、トレーニーや迷惑をかけてしまう周囲のみなさんは頼り甲斐があり、僕が心配する必要はないくらいに仕事ができるので安心できました。

転職先

前置き長くなりましたが、同期の一人が創業者のアルプ株式会社というスタートアップに転職します。

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https://thealp.co.jp/

最初は転職することなど考えてもいない状態で仲のいい同期がいるからという理由で出会ったのですが、チームの魅力に惹かれました。創業に至るまでの色々なエピソードがある中で、タイミングが合い、昨年8月に起業したばかりですが、このチームなら何かできるかもしれないと感じるメンバーでした。そして、今やろうとしている領域も僕にはすごく楽しそうに思えるものでした。仮に失敗してもこのチームで全力でやってできなかったのなら仕方ないと考えると思います。

そして、Androidエンジニアとしてではなくサーバーサイドのエンジニアとして働きます。Scalaで書くのですが、全くやったことがなかったので本当にこれからです。救いとしてJVM言語、気休め程度に今までやってきたKotlinとシンタックスが近いというのもあるので、あとは全力でやるだけです。やったことがないことに不安で行動しないよりは、やってみて失敗するほうがいいし、自分を成長させる意味でもチャレンジしてみたいと思いました。チームで自分が最低の環境でやり始めれば、あとは登るしかないので僕は逆に気が楽です。事業に影響が出ないように、むしろ貢献するように全力でやるだけです。

そのうち勝手にKotlinでも書くつもりですが…

不安もありますが、冷静に考えると転職してやってみることになんのデメリットもないと思っています。創業期の今しかできない体験をしたいし、いくらか年収が下がっても生活が苦しくなるわけではないです。それよりも一緒に何かにチャレンジしたいと思えるメンバーで、自分で会社を作っていくのはどういうことかを見つけていくことが楽しみで仕方がないです。

リスクを取る

上にも書いた通り、自分はあまり転職すること自体をリスクだと思ってません。社会的信用がなくなるとか、心理的に安全な大企業をやめて、スタートアップにいくことはリスクだと感じるのはわかります。しかし、それは何かに折り合いをつけて、本当に自分のやりたいことをやっていないかもしれないと僕は感じました。リスクという言葉はなんか難しい感じがしてしっくりこないのですが、代表の伊藤さんがよく話している「匂い」を放つ人じゃないといけないというのが好きです。

僕は「リスクを取る=細かいことは気にせずやりたいことをやる」だと思っていて、自分のやりたいことをいつまでも追いかけている人は独特の匂いを醸し出すよねという例えです。もちろん、こういう人だけで世の中が回っているわけではないのはわかっているので、どちらが良いということはないのですが、僕はいつも何かににチャレンジしているほうが性に合います。それが今回たまたま僕には転職して別なことをやってみるというだけだったのでした。

突き詰めると、いつも自分の中にしか障害はなく、それを変えられるのも自分だけだと思います。


少し長めの文章にお付き合いいただきありがとうございました。

もちろんスタートアップなので、人はいつでも募集中です!!!詳細な事業の内容は以下を参考にしてください。DMでもなんでも待ってます。

www.wantedly.com

このブログの内容に共感した!やチームと話してみたいなどあればぜひご応募ください。少しでも何かできるなら、僕より不安になる必要がないと思うので励みになると嬉しいです。創業期は特に働くスタンスへの共感が大事だと思ってます。全てこれから作っていくので、そういう体験をしたいという人は一緒に仕事をしてみたいです。

サイバーエージェントに就職を決めたのは「一緒に働いてみたいと思う人がいる」だったのですが、退職した今もその思いは変わりません。そしてまた、アルプに転職を決めた理由も同じでした。それがすごく嬉しかったです。

今年一年は体を張ることになると思います。体力づくりとサバイバルに必要なものリストをおいておくので、応援、ご協力いただけたら嬉しいです。

http://amzn.asia/ciFNJ3M

https://shop.basefood.co.jp/products/basepastatrial

そして、転職をして迷惑をかけるかもしれないと相談したとき「やってみたらいいんじゃない」と言ってくれた嫁にとても感謝しています。

サイバーエージェントの皆さま、本当にこれまでありがとうございました!!!狭い業界なので、今後ともよろしくお願いいたします!!!